TOP > 歴代受賞作品 > 第17回 ライトノベル ビーズログ文庫部門
歴代受賞作品
インフォメーション
応募総数
439作品
最終選考候補
6作品
選考委員
三谷 光(株式会社KADOKAWA エンターブレイン事業局 局次長)、河西恵子(株式会社KADOKAWA エンタテインメントノベル局 第二編集部部長)、ビーズログ文庫編集部
総評
河西恵子
(第二編集部部長)
今回は残念ながら応募数が前回を下回り、作品自体も全体に小粒で上位賞の受賞には至りませんでした。今年4月よりビーズログ文庫と10代向けのビーズログ文庫アリスと2レーベルに分かれ、それぞれの新世代を担う作品を期待していましたが、私達を"キュンキュン""ドキドキ"させてくれる作品が少なかったように思います。習作以上の、受賞に至る"何か"が欠けており、キャラの魅力不足やお仕着せのようなラブシーンなど、書き手の自己満足で終わってしまっています。読者を「萌えさせたい」「面白がらせたい」という本気度、熱量不足を感じました。その中で奨励賞の2作は未熟ながらも、ヒロインの熱い想いが伝わってくるような勢いを感じられた作品です。
受賞作品
◆奨励賞
『花冠の王国の花嫌い姫』
★作者:長月遥
プロフィール:十二月十日生まれの射手座A型。子供の頃から漫画とアニメとゲームと小説と洋画と、理想具現化な物語を糧に生きてきました。頑張った人が報われる、ハッピーエンドをこよなく愛する人間です。
★受賞者コメント
賞をいただけた事をとても誇りに思います。長年の夢が叶い、スタートラインに立つことが許された喜びでいっぱいです。皆様の楽しいという気持ちと、共感を得られる作家になれるよう、努力していきたいと思います。
★作品内容
豊かな土壌と穏やかな気候に恵まれ、一年中美しい花を咲かせる大国エスカ・トロネア。だが、『花冠の王国』と呼ばれ、現世の楽園と称されるこの国の第二王女フローレンスは、――重度の花アレルギーだった! 物心ついたころからくしゃみ鼻水が止まらず、淑女にあるまじき鼻の下(以下略)。外に出ればもっとひどくなるため引きこもって暮らしてきた彼女に、人生の転機が訪れる。北方の辺境地、ラハ・ラドマへの留学だ。気温は常にマイナス、一年の半分以上が雪に覆われるその国には、花がない。アレルギーに悩まされることなく留学を終えたフローレンスは決意した。不毛の地こそが己にとっての楽園であると。終の棲家をラハ・ラドマと決めたフローレンスは、第一王子イスカに求婚するのだが……!?
【選評】馬谷麻美(ビーズログ文庫担当副編集長)
西洋ファンタジー世界を舞台にしつつも、〝花粉症“という読者に身近なテーマをもってくることで、ヒロインのキャラクターや感情に入りやすく、そんな悩みを抱え他国に乗り込んだ彼女はどんなことをしでかしてくれるのだろうとワクワクする作品でした。書き込んだ描写があるわけでないですが、小気味いいセリフ回しとテンポよく進むストーリーが、書き手の持っているセンスを生かしたものだと感じました。ただ、全体的には設定と勢いに任せてしまった感があり、特に後半の展開が予測を超えるものにならなかったのが残念。せっかくの等身大キャラクター達なので、もっといろんな人間ドラマが繰り広げられるはず! キャラや舞台の背景に踏み込んで物語に生かせれば、もっと魅力的になると思います。
◆奨励賞
『エンとユカリの恋結び』
★作者:結都せと
プロフィール:夏生まれの神奈川在住、無類の犬猫好き。子供の頃から神様や妖怪に憧れて育ったため、読むのも書くのもそういった存在が活躍するお話が多い。デジタル機器とはとことん相性が悪く、執筆作業の八割がアナログです。
★受賞者コメント
最終に残っただけでも驚きなのに、賞までいただいてしまって感無量です。選考に関わってくださった皆様、本当にありがとうございました。このご縁を大切に、おもしろい作品を書いていけるよう精進いたします。
★作品内容
街はずれの廃神社には、とある“噂”がある。それは古い井戸に願えば、かつて祀られていた縁結びの神様が“恋を叶えてくれる”というもの。深夜の神社を訪れたユカリは、親友の千沙の願掛けを見守るが――「そなたの望み……聞き入れた」。突如響いた謎の声に、怖がりの千沙が逃走! ユカリは驚く間もなく現れた美貌の男に抱き寄せられ、首筋に噛みつかれてしまった!! 縁月と名乗る縁結びの神の正体は、まさかの吸血鬼!? しかも相手を魅了できる七日以内に相手の血を吸えば、想いが叶うと言う。まさかの“手違い”で千沙の想い人に迫られることになり、こうなったら私が縁結びするしかないと張り切るが……その日から縁月にも付き纏われることになって――!? 
【選評】山内真弥(ビーズログ文庫アリス担当副編集長)
恋愛成就の願掛けや縁結びという、気になるキーワードを上手く使いながらも、恋に悩む10代のキャラクターたちを等身大で描こうとしたところに好感を覚えました。友情と恋愛の狭間で葛藤する姿は読んでいてとてもハラハラさせられます。ただ、物語の構成が甘く、関係性の中で描きたいと思うポイントが偏りすぎてしまい、男子キャラクターの扱いに物足りなさを覚えました。結果だけでなく、過程の部分でも相手がいるからこそ生まれるドラマを大切に書き込んでいけば、さらに魅力的な作品となるでしょう。