TOP > 歴代受賞作品 > 第18回 ライトノベル ビーズログ文庫部門
歴代受賞作品
インフォメーション
応募総数
423作品
最終選考候補
6作品
総評
馬谷麻美
(ビーズログ文庫編集部 編集長)
前回より、受賞作の刊行レーベルがビーズログ文庫・ビーズログ文庫アリスと2レーベルになったこともあり、今回はいつにも増してファンタジーから現代ものまで幅広いジャンルの作品が集まったと感じました。応募作を分類すると大きく3つに分けられます。テーマ・内容はより少女小説らしい王道を追っているが、ストーリーもキャラクターも優等生で、どこかで読んだことがあると感じるもの。エンタテインメントを追った面白いテーマを持ってきているが、物語にうまく活かしきれず出落ちになっているもの。完成度は高く読み応えはあるが、どういう読者を想定した作品なのか不明なのもの。
すべてに共通するのが「読者の姿が見えない」ということです。作品は読者ありきのものです。読者に何を楽しんでもらいたいのか。一歩引いたところから自分の作品を見ることも大事なことです。ストーリーやキャラクターを追うあまり、大事なその部分がないものが多く、ワクワクドキドキできる作品が少なかったのが残念です。
受賞作は、その中でもライトノベルとして読者を楽しませたいという思いが伝わってきたものを選出しました。
受賞作品
◆特別賞 賞金15万円
『ケダモノと王女の不本意なキス』
★作者:松村亜紀
プロフィール:東京都在住。デジタル機器が大好きですが、本は紙派。双眼鏡を手に、博物館によく出没します。愛するシャチのグッズ収集がライフワーク。シャチのもったりとした愛らしいフォルムと、肉食のギャップがたまりません。
★受賞者コメント
つらいときや苦しいとき、たくさんの素敵な作品に支えられてきました。その気持ちを糧に、読者の皆様に愛されるキャラクターや、読んだ後に元気が出る物語をお届けできるよう、精一杯努力して参ります。
★作品内容
ライオール国の王女は、王族全員が魔法を使えるのに、自分だけが魔法を使えないことにコンプレックスを抱いていた。だからこそ“飴色の賢者”と呼ばれる程の魔法理論を取得し、自らの力で地位を切り開いていた……そんなある日。
仮面舞踏会で出会った謎の青年に、魔力を食い尽くされて死ぬ魔法をかけられてしまった! 死なないためには、闇魔法士であるアルヴァンに、キスで魔力を送り込んでもらわなければならない。一日一回は絶対に――。
「死にたくなけりゃ、黙って俺にキスされときゃいいんだよ」
一生懸命生きてきただけなのに、なんで私がこんな目に――!! おちこぼれ王女とケダモノヒーロー(?)のキスからはじまる……!?
【選評】馬谷麻美(ビーズログ文庫編集部 編集長)
コンプレックスを抱いたヒロインに、俺様なヒーロー。一日一回はしなければいけないキスから始まる恋愛も女子向けラノベの王道設定だけど……ヒロインとヒーローの恋愛にちゃんと胸きゅんする! というのが受賞ポイントです。終始織り込まれた恋愛描写に色気がありました。文章・構成も丁寧でバランスもよく、ただ逆にそこが優等生すぎる気も。先の読めない展開がもっと組み込めれば、読者を世界観に引きずり込めると思います。
◆奨励賞 賞金5万円
『残念公主のセンカツ事情』
★作者:チサトアキラ
空想大好きなチサと、読書大好きなアキラによる、京都出身の二人組。二人合わせてチサトアキラです。学生時代から、切磋琢磨し合いながら創作活動を続けてきました。空想現実の世界観をこよなく愛しています。
★受賞者コメント
お電話を頂いた時は驚きのあまり夢見心地でしたが、次第に実感が湧いてきました。二人の長年の夢が叶い、大変嬉しいです。私達の世界観やキャラクター達を、皆様に楽しんで頂けるよう努力していきたいと思います。
★作品内容
王族直系の公主ながら、父親が王位継承を放棄したため気楽な立場で暮らしている陽華。
そんな彼女が熱く打ち込んでいるのは……天上に存在するという伝説の地・仙界に生き、奇怪にして謎めいた術を使うと言われる、伝説上の偉人──仙人になること! 言ってみれば「仙人オタク」の空想癖と妄想癖もはなはだしい変わり者ではあるが、温かく(?)見守ってくれる従者・飛龍の前で今日も今日とて仙人修行=センカツに勤しんでいたところ……古い文書の呪文を唱えたらとんでもないものを掘り出してしまい!? 中華版オタクライフ、どこまでレベルUPできるのか──??
【選評】馬谷麻美(ビーズログ文庫編集部 編集長)
引きこもりがちで、仙人に憧れて「センカツ(仙人活動)」なるものにハマっている変人主人公。いかにもビーズログ文庫らしいところを狙った作品ですが、テンポよく次々に展開される物語構成は、とにかくエンタテインメントを注ぎ込もうという意気込みが感じられました。しかしながら詰め込みすぎて、何を見せたかったのかが伝えきれていないのが残念。後半も駆け足で、結末の説得力が物足りないところを直せれば、もっと次が楽しみになる物語になるはずです。