──大野さんが社長を務めるぱじゃまソフトが
10周年を迎えました。10年続けてみての感想はどうですか?
大野哲也(以下、大野) 会社を作ってからは11年になるんですけど、最初の1年は漫画描いてたんで、ゲームを作ってからは10年になりますね。
……よく頑張って来られたなって思います「みなさん本当にありがとうございます」という気持ちですね。
──途中でやめようかな、と思ったことってありますか?
大野 やめようかな、というのは無いですね。
ただ、私はずっとフリーだったんですけど、会社を作るとやっぱり会社に縛られるんで。自由を求めてフリーになってこの業界に来たのに、なんでこうなった!? って(笑)。
──それでは、最初は大野さん個人の歴史からお聞きしたいと思います。まず、イラストはいつごろから描かれるようになったのでしょうか。その時期やきっかけなどを教えてください。
大野 イラストを描き始めたのは、小学校の低学年くらいだと思います。落書きレベルですが、昔から絵は好きでしたね。
ただ、中学の頃はまだオタクじゃなかったので、剣道部にいました。高校では美術部でした。
ガンダムでハマって、オタクになったのは高校時代からですね。同じクラスにオタクがいたんで、そいつのせいです( 笑)。
彼は学校にニュータイプを堂々と持ってくる一方で他の遊びも楽しんでいるというタイプで、いいヤツだったんですよ。
一方自分は学校にそういう本を持ってこれるタイプじゃないので。創刊号から買ってはいましたけどね。
──となると、本格的に作品を残すようにしていたのは、高校くらいからですか?
大野 いえ、絵は中学の頃から描いてましたね。
ロボットなどの絵は描いてました。最初は女の子は描いてなかったんですよ。女の子を意識して描き始めたのは高校からですね。
いつの間にか「メカと女の子」を描くようになってました。
──その美術部は漫研っぽかったんですか?
大野 漫研は別にあったんですが、オタクは何人かこっちに来てましたね。絵が上手いヤツが当時の美術部に来ていたんで。
なので、絵も描いて漫画も描いて、という感じでしたね。あとはノートにパラパラマンガ描いたり。自分のにも他人のにも(笑)。
──同人活動もそのくらいに始めたんですか?
大野 高校時代に同人誌を出している先輩はいましたが、当時は「コミケすごいんだろうなあ」って夢を膨らませていた時代ですね。
家は埼玉にあったんですが、アニメグッズを買うのでお金がいっぱいいっぱいでした。交通費をかけてまでコミケに行こうとは、なかなかならなかったですね。
──自分で同人活動を始めたのは、その後?
大野 短大に入って間もなく、港(※注1)に会ってからですね。周りにオタクが3人しかいなかったんですよ。それでお互い「こいつだ!」と見つけて、仲間同士で始めました。
それが今でも続いているサークル・PUSSY CAT(※注2)ですね。途中から人が増えて合同誌を出すなどしていきましたが、最初は少人数でした。
──その頃からのつきあいで、今でも港さんとは会社の立ち上げからやっておられますよね。
大野 高校時代の仲間にも、漫画系の道に進んでいるのもいますしね。けっこうこっちの業界に来た人が、周囲にいろいろいるんですよ。
──サークル結成当時は、どんな本を出していたんですか?
大野 最初は非エロのオリジナルも描いてはいました。けど、全然売れなくてですね……叩き潰されました。これはダメだ、せめて元は取りたい……。
それで、売れるために努力しよう、お客さんのことも考えようと考えた結果、版権ものが増えました。
──どのあたりのキャラクターを?
大野 最初はプル(※注3)やレイナ(※注4)でしたね。マイナーなキャラも好きなんですけど……
『サジタリウス』に出てきたネコミミの女の子とか、『オズの魔法使い』のドロシーとか。昔からひねくれ者なところがあるんですよ。
『ヤッターマン』を見たらドロンボーたちに感情移入して応援するとか、昔からメインキャラよりも脇役の方が好きだったんです。
──その後、大学を卒業された後はどのような仕事をしていたんでしょうか?
大野 在学中から、松文館から当時出版されていた『ハーフリータ』という雑誌に漫画を描いていました。
ただ、それだけじゃ食っていけないとは思ってまして。それまではサラリーマンかなと思っていたんですが、いざ就職となった時に「やっぱり好きなことをする!」と決意しました。
漫画を描く会社は無いんで、会社に入るならアニメ関係かなと思って、亜細亜堂さんに入り、アニメーターになりました。
(この続きは本書にてお楽しみ下さい)
【注釈】
※1港:現在、ぱじゃまソフトでプロデューサーを務める、港香(みなと・かおる)氏のこと。ぱじゃまソフト運営の実務面の大半をこなす。
※2 PUSSY CAT:英語のスラングで、「可愛い子猫」「女の子」などの意味を含む言葉。「Pussy」という単語自体じたいには卑猥な意味もある。大野氏は「かわいくて、ちょっとだけエロい女の子っていいよね」という感じで命名したとのこと。
※3 プル:『機動戦士ガンダムZZ』に登場するエルピー・プル。
※4 レイナ:『マシンロボ クロノスの大逆襲』に登場するヒロイン、レイナ・ストールのこと。